【雑学】日本酒用語辞典

[あ] 

味吟醸(あじぎんじょう)・香り吟醸(かおりぎんじょう)
あたりまえだが、香りよりも味に主体を置いて造った吟醸酒が味吟醸。どちらかというと香りに主体を置いて造った吟醸酒が香り吟醸。初めは特徴が目立つ「香り」から。「香り」に作為が疑われるようになってから、だんだん「味」を重視するようになってきている。日本酒の世界には怪しげところがいっぱいある。

荒 走 り(あらばしり)
搾る段階(上槽)で、酒袋を槽(ふね)に置き、圧力をかけずに自然に流れ出てきた最初のお酒。一番美味しいといわれるところ。
ほとんどのお酒は醪自動圧搾機で搾られるが、高級酒は槽という手搾りの機器で搾ることがある。酒袋から荒々しく走るように出てくるお酒というイメージだろう。
圧力をかけない段階で出るのでアルコール度はやや低くすっきりした綺麗なお酒である。
ちなみにこの後に搾られるお酒は、「中取り」、「押切り」と呼ばれるが、「中取り」を称するお酒もかなりの水準の佳酒といっていい。例えば「中取り純米大吟醸」。
新米で醸造したお酒を「あらばしり」(新走り)と称することもあるようだが、こちらは取れ立て新酒、といった意味で概念が違う。平仮名で書かれているときはじっくり見てください。尤も値段が大分違うが。
正確には違うのだが、雫酒(しずくざけ)と称する蔵元もある。


[か]

生 一 本(きいっぽん)
自社の単一酒蔵のみで造った「純米酒」をいう。同じ産地でも他社のものは勿論、自社でも別の酒蔵で造ったものを混ぜたものは生一本とはいえない。灘の生一本が有名だが灘の専売特許ではない。
条件に合った酒を生一本と「表示できる」のであり、義務ではない。一箇所しか酒蔵がない酒造業者がほとんどなので「純米酒」は多くは生一本ということになるが、純米酒の中でも特徴のある自信作を生一本と称している場合が多い。

吟醸酒(ぎんじょうしゅ)
精米歩合60%以下の米で、「吟醸づくり」といって長期間低温でゆっくり発酵させ造られる酒。杜氏の技術の見せどころ、である。フルーツのような吟醸香が特徴で、味はやや辛口が多いが香りにより甘さを感じるものもある。酸味は少ない。
香りを重視する造り方(「香り吟醸」)から、近年、しかっりした味を追求する「味吟醸」に移りつつある。香りが少ないナなどと言って、恥をかかないように。
お酒の最高峰*にあり、常温か冷やして飲む。体温ぐらいのぬるいお燗なら香りを強くする効果があるが、お奨めしない。 肴は、この酒の華やかな香りと清涼で爽快な味わいを壊さないようなものにする。淡白な料理がいい。濃い味付けの料理や脂っこいものは合わない。
香りの強い「香り吟醸」は食前酒にもいい。

原  酒(げんしゅ)
醪(もろみ)を搾ったもの。通常はアルコール分を15度前後にするため加水(「割水(わりみず)」)するが出荷まで一切加水しないものを原酒という。一般にアルコール度数が18~19度と高い。
割水しなければ原酒というだけのことで、酒の品質の良否には関係ない。常温か、冷やして飲むのがいいが、オンザロックでも楽しめる。

古  酒(こしゅ)
一般的には長期間貯蔵熟成させ、独特の味を出したお酒。香りや味に落ち着いた、まろやかな味わいをもっている。紹興酒のような味やブランデーのような香りを持つものもある。
長ければいいというものではない。もとの酒によって長く置いていいものか違うし、蔵としても結果がどんなものになるか必ずしも事前に把握できるわけではないようだ。
酒づくりの現場では「新酒」との対比で、醸造年度が変わるとそれ以前に造られたお酒をすべて古酒と呼ぶ。
吟醸酒は熟成にも時間がかかり(1~2年)、すべて古酒といっていい。
1年古酒から10年以上物と、いろいろな「古酒」があり、使っている状況で意味が異なる。


[さ] 

酒造好適米(しゅぞうこうてきまい)
酒米の中でも、特にお酒造りに適したお米。大粒である、心白(しんぱく=米の中心の乳白色の部分)がある、タンパク質や脂肪が少ない、軟質で吸水がいい、などの特徴がある。農産物検査法上、普段食べている米いわゆる一般米(うるち米)とは別な基準で検査され、特上~三等に格付けされる。
いい酒を造るため、契約栽培はもちろん、自社栽培する酒蔵もある。
普通の日本酒は、価格が高く量も少ない酒造好適米だけで作られるわけではない。酒母(もと)用の麹や酒母づくりの蒸米にはまずほとんど使われるが、三段仕込みに使われる掛米(かけまい)には、吟醸酒などは別として、一般米を使うものが多い。
代表的な酒造好適米としては、山田錦(やまだにしき・主な産地兵庫)、五百万石(ごひゃくまんごく・新潟)、美山錦(みやまにしき・長野)は特に有名だが、フクノハナ(東北)、たかね錦(長野)、玉栄(たまさかえ・愛知)、ひだほまれ(岐阜)、雄町(おまち・岡山)、八反錦(はったんにしき・広島)、西海134号(九州)など、地方ごとに特徴のある米が使われている。

純米酒(じゅんまいしゅ)
原材料が(米・米麹)だけのお酒で、醸造アルコール・糖類等の添加はしない。米は精米歩合70%以下の白米を使用。米の風味が生き、造り方によって個性が現れる。重厚な味わいでやや酸味を感じさせるものが多い。
吟醸酒、大吟醸酒を純米酒仕様で造れば、純米吟醸酒、純米大吟醸酒。

2004年1月1日から「清酒の製法品質表示基準」改正されました。
特に純米酒については、「製法品質の要件」のうち要素としては極めて大きい「精米歩合70%以下」が削除されました。
ですが、無論基準が緩くなったわけではありません。
特定名称酒は、こうじ米の使用割合が15%以上のものに限るものとすることになったからです。逆に言うと、悲しいことですがこれ以下の麹しか使っていなかった純米酒が結構あったということです(その代わりに糖化酵素を入れていたということ)。
もうひとつ、特定名称酒については精米歩合を併せて表示することが義務づけられたことです。70%以下であれば今までと同じですが、1%単位で表示をすることになります。他の条件さえ満たせば80%でも、92%(普通に食べるご飯用)でもいいわけです。要するに、酒造家(時に杜氏)の考えひとつで品質がすっかり変わるということです。
これまでも知ったかぶりの純米酒信仰を咎めてきましたが、正直、やっぱりそうだったか、という感想を否めません。純米酒はこれからも特に選別が必要な酒です。

純米吟醸酒 (じゅんまいぎんじょうしゅ) 吟醸酒で純米酒仕様により作られたもの。
すなわち、精米歩合60%以下の米と米麹だけで造り、醸造アルコール・糖類等の添加はしない日本酒。
味、香りには純米酒の特徴も出る。

純米大吟醸酒(じゅんまいだいぎんじょうしゅ)
大吟醸酒で純米酒仕様により作られたもの。
すなわち、精米歩合50%以下の米と米麹だけで造り、醸造アルコール・糖類等の添加はしないもの。
しかし「純米」だから最高級というわけではない。同じ蔵の一番高価なのはアル添の大吟醸酒であることが多い。

新  酒(しんしゅ)
その醸造年度内(BY、7月1日~翌年6月30日)に造られたお酒。<新酒は普通、秋の初めに醸造したものが暮から正月に、冬に醸造した酒が春から初夏に出荷される(最低3カ月の熟成は必要)。
一般的には日本酒はひと夏越してから販売することが多く(新酒との混和を含めて)、前醸造年度にできたお酒でも秋に売るときに“新酒”としている場合もある。厳密ではないが感覚的にはおかしくない。

精米歩合 (せいまいぶあい)
精米した白米の、元の玄米に対する重量の割合。例えば吟醸酒の条件の精米歩合60%以下という場合、玄米の表層部を40%以上削り取ることをいう。精米歩合の数値が小さいほど不要な蛋白質、脂肪分等を取り除くことになり、すっきりした味になる。

増醸酒(ぞうじょうしゅ)
多量のアルコール、砂糖・蔗糖・ブトウ糖、乳酸・クエン酸・リンコ゛酸等で調味をし、増量した酒。醸造した量を3倍に増やすので3増酒(3倍増釀酒)ともいう。


[た]

大吟醸酒(だいぎんじょうしゅ)
精米歩合50%以下の米を使う以外、基本的には吟醸酒と同じである。 他の条件では、吟醸酒が「固有の香味および色沢が良好なもの」であること、に対し、大吟醸酒は「固有の香味および色沢がとくに良好なもの」という違いがあるだけである。
杜氏が最高の技術で造りあげる酒の芸術品であり、酒造好適米100%使用、精米歩合も30%以下のものまであり、吟醸香、味わいが吟醸酒より優れている(とされる)。華やかで上質の香りが特徴。

特定名称酒(とくていめいしょうしゅ)
精米歩合、製造方法、使用原料、香味および色沢等の一定の条件を満たした日本酒。
精米歩合70%以下、アルコール添加10%以下が最低条件。 ・本醸造酒 ・純米酒 ・特別本醸造酒 ・特別純米酒 ・吟醸酒 ・大吟醸酒 ・純米吟醸酒 ・純米大吟醸酒の8種類。
従来の級別は、特級が89年4月、1級・2級は92年4月に廃止。 ‘90年11月の「清酒の製法品質表示基準」(国税庁)で製法、原料等による分類に変わり、この基準を満たしたものを特定名称酒と呼ぶ。

特別本醸造酒(とくべつほんじょうぞうしゅ)
本醸造酒のうち、精米歩合を60%以下とするか、または 酒造好適米の使用率が50%を超えると、「特別」本醸造酒となる。この旨表示があるのですぐわかる。というより表示しなければならない。
特別純米酒とともにお奨めのアイテム。酒自体に淡い香りもありそのまま飲っても旨いし、肴との相性も広いくていい。

特別純米酒 (とくべつじゅんまいしゅ)
純米酒のうち、精米歩合を60%以下とするか、または 酒造好適米の使用率が50%を越えると、「特別」純米酒となる。なぜ「特別」なのかを表示しなければならない決まりであり、壜を見ればすぐわかる。
特別本醸造酒とともにお奨めである。

ドブロク
蒸米に麹と何らかの酵母を加え簡略に仕込んだ醪(もろみ)のそのままの状態または粗漉ししたもの。濁酒。
簡単にいえば密造酒。要するに富国強兵時代に国家収入確保のため作った法律(酒税法)に違反する酒。今はいい酒が安く手に入るようになったので趣味的に造られる程度で、お目にかかることはまずなかった。
最近、規制緩和の一環として構造改革特区「ドブロク特区」が認められ、岩手・新潟・長野などで03年末ごろにはお目にかかることができそうだ。無論酒税を納める‘適法酒’である。地ビールと同様新しい展開があるかもしれない。


[な]


生 酒(なまざけ)
搾り立ての日本酒を一切加熱処理していない清酒。下記「生貯蔵酒」の「貯蔵」という活字が小さく誤認させるようなものが多いので、要注意。

生貯蔵酒 (なまちょぞうしゅ)
搾り立ての日本酒を加熱処理せずに貯蔵し、出荷時に一度だけ加熱処理をしたもの。
ただし、貯蔵期間が極めて短く、酒が出来てすぐ熱処理して瓶詰めする「一回火入れ酒」というべきものが多い(らしい)。「生貯」の爽やか感は貯蔵による熟成がない(少ない)からと思ったほうがよい。
国税庁の定める「清酒の製法品質表示基準」には、『「生貯蔵酒」は「生酒」と誤認されるおそれのある表示とならないよう特に留意するものとする。』とあるが、危惧したとおり、「生」だけが馬鹿でかく「貯蔵酒」は小さく表示しているものが多い。こういうゴマカシ体質が飲み手を日本酒から遠ざけることになる。


生詰・生詰め酒(なまづめ・しゅ)
搾り立ての日本酒を火入れして貯蔵、熟成させ、壜に詰めるときは火入れをしない酒。「冷おろし」が代表格。
一度火入れしても日本酒では「生」という語を使うので、注意。

日本酒の日
十二支の10番目、10月=酉の月の「酉(とり)」は壷を表す象形文字で、酒という字は、この「酉」に由来する。酒に関わる 酔、酌、醸、酩酊、酵酵、醇 等は旁が「酉」。
1965(昭和40)年までは酒造年度(BY)が10月1日(現在は7月1日)に始まっていたこともあり、またこの頃から新米が収穫され酒造りが始められることから、1978年(昭和53年)に日本酒造組合中央会が10月1日を「日本酒の日」に制定。また10月はお酒の月。

[は] 


火入れ (ひいれ)
濾過した新酒を60度程度で加熱殺菌すること。低温殺菌法。酒の中の酵素を殺し、熟成、香味などの調節をはかる意味もある。
生酒・生詰め・生貯蔵酒などを除き、貯蔵の前と瓶詰時の2回加熱処理する。


冷おろし・冷卸し(ひやおろし)
早春までに醸された酒を火入れして夏場まで貯蔵・熟成し、秋口に入り加熱処理=火入れをしないで壜詰めされる清酒。生詰め酒のひとつ。季節限定品で9月10月が旬。新酒に比べ荒々しさがなくなり深い旨みのある味になる。香りも納得できる。
かつて樽輸送が主流の時代は樽詰めのときには加熱処理をせず、生のまま詰められていたので、江戸の酒はほとんど冷卸し?。

普通酒(ふつうしゅ)
「特定名称酒」および「増醸酒」以外の一般の清酒。すなわち、精米歩合70%超、醸造アルコール添加10%超、糖類等を添加。色沢・香味条件の不備、のいずれかに該当する酒。アルコール使用量は白米1トン当たり500リットル程度(アルコール分30%濃度)が普通。

本醸造酒(ほんじょうぞうしゅ)
精米歩合70%以下の白米を使用して醸造した酒。仕込みの最終段階で醪(もろみ)に白米重量の10%以下のアルコール(度数95度換算。白米1トンにつき約120リットル以下)を加える。糖類等の添加はしない。
純米酒に比べ香りがありやや軽い感じの味の酒になる。
純米酒にアルコールを加えたものではない。


[ま]

[や]

[ら]

冷  酒(れいしゅ)
こういう種類の日本酒があるわけではない。冷たくしたお酒というだけ。あえていえば、冷やして飲むことが推奨されているお酒。
店の人が「冷酒」と言ったら必ず酒の種類を聞くこと。生酒、生貯蔵酒のことが多いが、吟醸酒もあるし、冷やしただけの普通酒まである。

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